a bit bite of new york



サンライズからはじまる毎日のサプライズ。

ちょっとしたことを、
ちゃんとしたものに。

そんな小さな出逢いをニューヨークよりお届けします。


<< new york in april. main ジェノベーゼトマトパスタ >>
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

- : -
「ワタシ、ニューヨーカー、ヒニク、スキダカラ」
 
「34th Ave.ってこっちだよね?」
と指を差しながら道を訪ねてきた男性がいた。

ちょっぴりかすれたダミ声の彼は、
160センチあるかないかぐらいのわたしと
目線がほぼ変わらないほど小柄で、
テカるリーゼントの黒髪と
ぎょりっとした目が印象的な人だった。

その日のニューヨークの気温は10度ちょっと。
いくら春らしくなってきたとはいえ、
まだ肌寒い日だというのに
40代前半であろう彼が着ているのは、
胸の筋肉がやけに強調される
ぱつんぱつんのVネック白Tシャツにジーンズ。

さすがに太ってはいなかったけれど、
そのVネックにはゴールドの
小さな十字架ネックレスがキラリと光り、
なんとなくウェストサイドストーリーの人が
そのまま老けたような、
ニューヨーカーらしい雰囲気の
中年チンピラといった感じの男性だった。

彼は、いらない洋服を寄付するために
これからサルベーション・アーミーへ行くんだと言い、
わたしの顔をちらっと覗きこみながら
「韓国人かい?」と聞いてきた。

「日本人だよ」とこたえると、
彼はいきなりアメリカ人訛りの、
いわゆるカタカナニホンゴを話し出し、
独特の英語まじりの会話がはじまった。

Oh!
ワタシ、サッポロ、スンデタヨ
ワタシ、host family、サッポロニイル (host familyはネイティブ英語)
ワタシ、エイゴノセンセイ、シテタヨ

まさか彼の口からニホンゴとは!

わたしもびっくりしながら、
妙におかまちゃんのように聞こえる
彼のダミ声ガイジン訛りのワタシ、ワタシに耳を寄せた。

ワタシ、ワタシ、バカリイウネ、
everyone、オレ、オマエ、イウネ、
デモワタシ、ワタシイウ。

アナタ、エイゴノハツオン、perfect!
ワタシ、ガイジンノハツオン、
アナタ、ナンネン、America イル?

そこでなぜかわたしにも彼の“ワタシ”がうつってしまい、
「ワタシ、昔 west coastに住んでたの」
と、まさにガイジン訛りのニホンゴと
ネイティブ英語の発音の両方を使いこなしていて、
そんな自分に笑ってしまった。

アナタ、イクツ?
32歳よ。結婚もしてるよ。には、
ケッコン、シテルノ?
ワタシ、ドクシン、エイエンニ!

という展開。
もうそこでわたしは吹き出すように大爆笑して、
彼も嬉しかったようで笑っていた。

ワタシ、ガイジン、ガイジン、ヨバレタヨ

日本では日本人に指を差されながら
ガイジンと呼ばれていたことを
ジェスチャーつきで教えてくれた。

そして「were you ok with that?(それは気にならなかった?)」の問いには

「ワタシ、ニューヨーカー、ヒニク、スキダカラ」と。

you know, I'm a New Yorker,
I like sarcastic jokes!
俺、ニューヨーカーだからさ、
皮肉なジョークが好きなんだよ!

そこでわたしは思わず「I love it!」(いいねー!)と言って、
またもやふたりで笑い合ったのだった。

彼はマンハッタン生まれ、アストリア育ちの人だった。
15年前に英語教師として札幌へ行き、
3年ほど住んだのだけれど、
国連での仕事依頼の電話が入りニューヨークへ戻ったという。

中年おチビチンピラニューヨーカーがニホンゴも話せて国連勤務とは!

ゴールドの十字架ネックレスが見えるVネックの奥から
もそもそと国連IDを取り出し見せてくれた。

スゴイネー!
スゴクナイヨー!

別れ際には名前を聞かれ、
握手をかわしながら、さようなら。
お互いが別の方向へ歩きはじめ、
手を触り合っているそのとき、
彼の口から最後にでたのは、

「ハジメマシテ〜!」

またもやおかしくって、
別れたあとも我慢できずに
ひとり歩きながら笑っていた。


ニューヨークでは街中で他人と話すことがよくあり、
2、3分の世間話をしたあとには、
「Nice meeting you!」と言って別れる。
それをそのままニホンゴに訳して
わたしに言ってくれた彼がやけに愛おしかった。

「ワタシ、ドクシン、エイエンニ」もそうだけれど、
"I am single forever"という英語を
そのまま日本語に言い直して言っていたわけなのだ。


この日はちょうど、朝から東京のことを思っていた。
父から花見の写真が送られてきたり、
満開の桜の写真をFBで見かけたりしていると、
どうしても、どうしても、4月のわたしは東京が恋しくなる。

ニューヨークにも桜はあるけれど、
心にじーんと染みる桜の美しさは、
やっぱり生まれ育った東京で感じたいのが本音。

東京や日本が恋しくなっていた日なだけに、
おチビチンピラワタシニューヨーカーに癒され、
心がぐっと温まる午後であった。


だから好き、アストリア。 : comments(4)
スポンサーサイト
- : -
comment
ワタシ、スキ!
LIKE!
| ナホ | 2012/04/12 7:45 AM |
ナホサン、
ワタシモ、スキ!
アリガトウ!
| pirocat | 2012/04/13 11:41 PM |
ハジメマシテ!
今度アストリアに引っ越す予定があるので検索しているうちに辿り着きました!
一つの短編小説を読んでいるかのようでした^^
ありがとうございます♪
アストリアに住むのが楽しみになりました。
| エミ | 2012/08/02 12:54 PM |
エミさん、ハジメマシテ!

コメントどうもありがとうございます!
アストリアに引っ越されるのですね〜
もしかしたらこのワタシおじさんに遭遇するかも!?
アストリアは本当に色んな人種・人間が
住んでいるので、きっとたのしめると思いますよ!
| pirocat | 2012/08/04 4:04 AM |
comment









Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930 
<< November 2018 >>
about me
my book
categories
favorites
archives
RECENT COMMENT